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7    女性天皇と憲法?!
更新日時:
H18年5月18日(木)
ちょっと前までホットだった「女性天皇」の容認問題。
容認すべきだ!という人も結構いました。
 
「なんで?」
 
根拠はいろいろあるんでしょうが、「憲法」に根拠を求めた人もいました。そう、憲法14条です。
 
「天皇ハ、戒厳ヲ宣告ス。」
 
あ、・・・これは大日本帝国憲法14条。
 
 
日本国憲法14条はコレです↓
 
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」(憲14条ノ一)
 
 
おお、じゃあ女性天皇は認めなければならないんだ・・・!!
 
これが憲法に根拠を求める人の考えです。
 
 
どうでしょう?納得??
 
 
 
 
 
・・・されちゃうんと困るんです。
 
そもそも、憲法って何でしょう?
 
憲法は
「国家権力と、国民の間において適応される、社会契約に基づいた約束」
といえます。
要は、「国民は国家に何していいの?」「国家は国民の何を守んなきゃいけないの?」
なんてことを明文化したものです。
だから、憲法におけるとりきめは、「国家」と「国民」の間にしか通用しません。
つまり前回の復習、「債権」ですよね??(債権は二者間の話し合いで獲得される権利のこと、だったでしょ?)
 
だから、現実に外国人にも認められていません。(たとえば参政権。外国人が選挙ポスターに写ったりはしません。)
 
 
さて、いま問題となっている「天皇」。天皇って何ですか?
「国民」?→バツ。自然人じゃないもん。
「国家権力」?→バツ。戦前じゃあるまいし。
 
ほら、憲法の対象にならないでしょ??
 
 
だから、天皇には14条が必ず適応されないといけない、なんて論理は通用しないんです。
なお、天皇の人権に関して憲法は「折衷説」をとっています。(つまり、場合によりけり、ってこと。)だから、条文の中の「内閣総理大臣の任命権」とかは現実には保障されている形になっています。
 
 
憲法を根拠に女性天皇問題を語る、そんなナンセンスなことをしないようにしましょうな・・・。
 
 
なお、天皇即位の際は生殖儀式をするそうなので、男じゃなきゃダメだ! と某東京S高等学校日本史教諭は語っていましたことを付け加えときます。
(しかも皇后ってことばの問題だってあるしね〜・・・)
 
 
 
 

8    2人の借金取り・・・あなたはどうするべき??
更新日時:
H18年5月15日(月)
今回は、民法の「債権譲渡」ということに関するハナシです。
 
導入として、民法についてちょっと。
民法とは、「契約に関する規定を明文化したもの」といえます。民法の中では、家族関係も契約の一部です。
契約によって、人々は権利を獲得します。
というかそのために市民革命などが諸国で起こったわけです。人々の間柄は契約によって支えられているのです。
(友情は別物じゃない?と管理者は思いますが。この点は明記されてません。)
 
民法の話の内容は、主に「物権」と「債権」に分けられます。
「物権」とは、所有権みたいに「コレは俺のモンだ!」と大衆みんなに主張できる権利の事を指します。
「債権」とは、不動産や借金の契約などのように、二者間の話し合いで獲得される権利のことです。ここでは一方は債務者、もう一方は債権者と呼ばれるようになります。
 
 
これを知った上で以下の話を読んでみてください。
 
 
さて、こんなシチュエーションを考えてみよう。
「AさんはB氏に100万円貸しました。」
 
民法上ではこのことを「債権契約」なんていったりします。
Aさんは債権者(お金を返してもらう権利を持つ人)であり、
B氏は債務者(Aにお金を返す義務がある人)となるわけです。
 
しかし、景気よくB氏に金を貸したAさんも、半年後皐月賞で大損をし、借金地獄にはまります。Aの借金取りであるC氏とD氏から、Aは借金返済のかわりに「債権をよこせ」と迫られ、CとDに債権を譲渡してしまいます。
 
(※日本の法律では、同じ内容の債権を複数の債権者に両立することが認められています。だから、タレントが同じ時間にTBSと日テレの生放送に出る契約をしてもよいのです!!  ←ただしあとの責任は自分でとらないとダメですが・・・。    一方、物権は両立できません。たとえば不動産の登記簿を考えてください。同じ家の持ち主が二人なんてありえないですよね?  これを「私的契約の自由」なんて言ったりします。)
 
CとDは、債権譲渡を受けた場合、Aがごまかしたりしないよう、譲渡をうけた証明書をAにかかせ、さらにB(債務者)へ通知をさせないといけません。
 
 
さて、債務者のBのもとに通知が届きます。
Cから→「あなたの100万円返す相手はC氏になりました。」(5月10日着)
Dから→「あなたの100万円返す相手はD氏になりました。」(5月12日着)
 
 
「どっちに返せばいいんだ??!!」(byB)
 
さて、あなたがBならどっちに返しますか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
答えはCです。
 
最高裁判所は、「B(債務者)のもとに先に着いた通知が、有効となる。」としています。裁判所は意外と、「早いモン勝ち」とするのが好きなようです。
よってDはたとえ訴えを起こしても確実に棄却されます。
 
また万が一債務者であるBが、Dに払い込んだとしても、Cに支払わなければ返済義務は果たしたことになりません。
(この場合、2人に払わないとならなくなることから二重弁済になった、といいます。)
 
当然ながら、債務者であるBは、それを理由に訴えることもできません。(「対抗要件を備えていない」と言えます。)
 
 
 
意外にこのハナシは知られていないでしょう??でも日常ではこれに関するいざこざが結構あるようなんです。
 
法律の中からは、こんな話がボロボロでてきます。だから面白い人には面白いんだけどね〜・・・。
 
法律を司る・法律にかかわりを持つ人間の役目は、「法の解釈」と「法律で裁く必要が生まれる事件を未然に防ぐ」の二つである、なんて言われています。
 
ここのハナシを読んだ人が、将来同じ目にあわないように・・・。いざこざを未然に防ぐべく、これからいろんなハナシを掲載していくつもりです。
 
 
次回はもうちょっと簡単なものにしましょうか・・・。初回から長文失礼しました。
 
 
 



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