今回は、民法の「債権譲渡」ということに関するハナシです。
導入として、民法についてちょっと。
民法とは、「契約に関する規定を明文化したもの」といえます。民法の中では、家族関係も契約の一部です。
契約によって、人々は権利を獲得します。
というかそのために市民革命などが諸国で起こったわけです。人々の間柄は契約によって支えられているのです。
(友情は別物じゃない?と管理者は思いますが。この点は明記されてません。)
民法の話の内容は、主に「物権」と「債権」に分けられます。
「物権」とは、所有権みたいに「コレは俺のモンだ!」と大衆みんなに主張できる権利の事を指します。
「債権」とは、不動産や借金の契約などのように、二者間の話し合いで獲得される権利のことです。ここでは一方は債務者、もう一方は債権者と呼ばれるようになります。
これを知った上で以下の話を読んでみてください。
さて、こんなシチュエーションを考えてみよう。
「AさんはB氏に100万円貸しました。」
民法上ではこのことを「債権契約」なんていったりします。
Aさんは債権者(お金を返してもらう権利を持つ人)であり、
B氏は債務者(Aにお金を返す義務がある人)となるわけです。
しかし、景気よくB氏に金を貸したAさんも、半年後皐月賞で大損をし、借金地獄にはまります。Aの借金取りであるC氏とD氏から、Aは借金返済のかわりに「債権をよこせ」と迫られ、CとDに債権を譲渡してしまいます。
(※日本の法律では、同じ内容の債権を複数の債権者に両立することが認められています。だから、タレントが同じ時間にTBSと日テレの生放送に出る契約をしてもよいのです!! ←ただしあとの責任は自分でとらないとダメですが・・・。 一方、物権は両立できません。たとえば不動産の登記簿を考えてください。同じ家の持ち主が二人なんてありえないですよね? これを「私的契約の自由」なんて言ったりします。)
CとDは、債権譲渡を受けた場合、Aがごまかしたりしないよう、譲渡をうけた証明書をAにかかせ、さらにB(債務者)へ通知をさせないといけません。
さて、債務者のBのもとに通知が届きます。
Cから→「あなたの100万円返す相手はC氏になりました。」(5月10日着)
Dから→「あなたの100万円返す相手はD氏になりました。」(5月12日着)
「どっちに返せばいいんだ??!!」(byB)
さて、あなたがBならどっちに返しますか?
答えはCです。
最高裁判所は、「B(債務者)のもとに先に着いた通知が、有効となる。」としています。裁判所は意外と、「早いモン勝ち」とするのが好きなようです。
よってDはたとえ訴えを起こしても確実に棄却されます。
また万が一債務者であるBが、Dに払い込んだとしても、Cに支払わなければ返済義務は果たしたことになりません。
(この場合、2人に払わないとならなくなることから二重弁済になった、といいます。)
当然ながら、債務者であるBは、それを理由に訴えることもできません。(「対抗要件を備えていない」と言えます。)
意外にこのハナシは知られていないでしょう??でも日常ではこれに関するいざこざが結構あるようなんです。
法律の中からは、こんな話がボロボロでてきます。だから面白い人には面白いんだけどね〜・・・。
法律を司る・法律にかかわりを持つ人間の役目は、「法の解釈」と「法律で裁く必要が生まれる事件を未然に防ぐ」の二つである、なんて言われています。
ここのハナシを読んだ人が、将来同じ目にあわないように・・・。いざこざを未然に防ぐべく、これからいろんなハナシを掲載していくつもりです。
次回はもうちょっと簡単なものにしましょうか・・・。初回から長文失礼しました。
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