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5    人権が制約される人 @
更新日時:
H18年5月27日(土)
本題の前に・・・昨日掲示板にこんなカキコがありました。すごくいい指摘をしてくれたのでまずそのネタから。
 
「ライブドアの裁判が始まったけど、弁護士はホリエモンの弁護をするのかね・・・。なんか悪い事しているのわかってるのに弁護するのって気が引けるよね。」
 
管理人もそう思いますね、確かに。殺人犯の弁護をしてみなさい、なんて言われると、気持ち的には難しいものがあります。それは弁護士の方々でもみんなおなじでしょう。
 
さて、弁護士は被告が悪い人もいい人も弁護しないとなりません。相手によって、どのように裁判を進めるべきかは次のようになっています。(弁護士法・弁護士職務基本規定などの解釈による。)
 
・依頼人が「無罪」を主張している場合、たとえ証拠により有罪が確実視される場合でも弁護人は「無罪」を主張して争うべきである。(前回のリンカーンのようなことにもなれるわけですね。)
 
・依頼人が「有罪」を主張しており、それがほぼ確実の場合は、裁判において罪を認め、「刑を軽くしてもらう・不当な刑の執行を防止する」ということを目標にして弁護していくべきである。(情状弁護、といいます。)
 
・依頼人が「有罪」を主張していても、証拠や証言、事実関係などから無罪だと思われる場合、弁護人は被告とは違う「無罪」を主張して弁護を行うべきである。(冤罪・身代わりなどを防ぐためです。暴力団などでは、部下を身代わりにすることがよくあります。)
 
こうみてみると、どうでしょう?特に2番目。「有罪を認めた上で」、重過ぎない・正当な刑の執行を求める弁護士の仕事。これなら、罪悪感みたいなものも少し消えるのではないでしょうか。いくら弁護士でも本当に有罪の事件を弁論で無罪にすることは、はっきりいって不可能です。したがって被告は刑は受けるわけですし、「正当な刑にしよう」とする弁護士活動、恨まれるような仕事じゃないように思いませんか?
 
 
さて本題。今回から「人権」についてちょいとおハナシしようと思います。携帯で見てくれている人もいるので字数の関係で今回は序の口程度に。
 
 
「公務員は争議権などの労働三権が剥奪されています!」
 
政経や現代社会のお受験知識です。
 
・・・が、嘘です。権利にかかわること、こんな一行で片付くわけがない。
 
てかそもそも、公務員はなんで特別扱いされるの??
って思う人もいるでしょう。
その理由は“特別権力関係理論”というものから説明できます。つまり・・・
 
「公務員は国家権力の一味であり、自然人であるわれわれとは異なる。だから人権が制限されてもしょうがないんだ。」
 
ってことです。1960年代までは裁判所もこの理論を主張していました。納得できます?なんかおおざっぱだと思いません?(>このハナシは今度。)
 
ではさっき嘘だといったことの実際を書いて今回のハナシはおしまいに。
 
労働基本権の制約
@警察、消防署員、自衛隊員、海上保安庁勤務者、監獄で労働する(在監者の人権についても今度ふれます。面白い訴訟とかあるので。)者は団結権・団体交渉権・争議権のすべてが否定される。
A一般行政の国家公務員・地方公務員は、団結権のみ認められ、ほかは否定される。
B国営企業の国家公務員、独立行政法人職員などは、団結権・団体交渉権が認められ、争議権のみ否定される。
 
ね、全部否定されているわけじゃないでしょ??
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それから、今回から頭を鍛えるのによい、論理学の問題も掲載します!ぜひ挑戦してください。解答は次回更新時に掲載。掲示板にカキコしたりメールしてくれてもいいです。
 
第一問  つぎの□□□に適切な接続表現(だから、つまり、など。)を入れなさい。
 
「ディズニー作品の中では、ミッキーもミニーもグーフィーも、擬人化されているものはみんな白い手袋をはめていなければならない。□□□、ミッキーが飼っている犬のプルートなど、擬人化されないで、そのまま動物として登場するときには、その必要はない。」
 
迷うはずだ!よ〜く考えてみて。ではまた次回。
 
 

6    弁護士の腕の見せ所、“反対尋問”!
更新日時:
H18年5月21日(日)
実際の裁判法廷では、検察官は「証拠」をつきつけてきます。もちろん物品もあれば、証人なんかもでてきます。
ここでいかに対抗するかが弁護士の技量の見せ所です。この対抗する場、つまり証人に尋問する場のことを「反対尋問」とよびます。
 
さて、「人民の、人民による、人民のための政治」を唱えたエイブラハム・リンカーンは、政治家になる前弁護士だったことをみなさんご存知ですか?
 
今回は法律の解説からちょっと離れ、ある判事の「法廷戦術」という本の中などで紹介されている、リンカーンが始めて手がけた弁論の「反対尋問」の様子を紹介しよう。
 
・・・とその前に、「人民の、人民による、人民のための政治」の英訳をみんなで復習しておこう。
 
government of the people, by the people, for the people.
 
以上、復習おしまい。では本編を。
 
登場人物:
被告人:グレイスン
被害者:ロックウッド
証人:ソーヴィン
弁護人:エイブラハム・リンカーン
 
前置き:
グレイスンは、18××年8月9日夜、ある教派の野外集会でロックウッドを射殺したと告発されている。もともと善良な人柄であったグレイスンは無実を主張しているが、ソーヴィンはその殺人現場とグレイスンの逃走をを目撃したと証言している。人々はこの証言を信憑性のあるものとみなし、グレイスンの犯行に疑いはないものだと思い込んでいた。
 
グレイスンの母親は年配のベテラン弁護士に依頼することができず、若造であったリンカーンに弁護を依頼することになり、審理が開始された。
 
しかし、リンカーンは複数の証人に対する反対尋問は行わず、ただ無罪を主張するのみ。「なぜリンカーンは反論しないのか?」母親は不審といらだちをつのらせていた。
 
最後の切り札証人となったのがソーヴィンだ。検察の主尋問の後、リンカーンの反対尋問が開始された。いままで反対尋問を行わなかったリンカーンは、このときになりスット立ち上がり、以下のような尋問を繰り広げたのである。
(以下、リンカーンはL、証人ソーヴィンはSと記載する。)
 
L「Sさん、それであなたは、犯行直前までロックウッドと一緒にいて、それで狙撃するのを見たということですね?」
S「そうです」
L「グレイスンのすぐ近くに立っていたということになりますかね。」
S「いいえ、6メートルほど離れてました。」
L「3メートル位じゃなかったんですね?」
S「はい、6メートルか、もしくはそれ以上でした。」
L「犯行時刻は?」
S「夜10時ころでした。」
L「そこは広い野原でしたか?」
S「いや、林の中でした。」
L「何の?」
S「ブナの林です。」
L「8月といえば、木の葉がかなり茂っていましたよね?」
S「まあ、どちらかといえばそうですね。」
L「それで、あなたは被告人が狙撃するところを見ましたか?−−その銃身をどんなふうにぶらさげていたとか、そんなところが全部見えましたか?」
S「ええ。」
L「現場は集会場からどのくらいはなれていましたか?」
S「1.2Kmほどです。」
L「電燈はついていましたか?」
S「牧師席の脇の上のほうについていました。」
L「1.2Kmも離れた?」
S「そうです。その点についてはすでに答えました。」
L「じゃあ、あなたとかグレイスンがろうそくでももっていたんですかね?」
S「いいえ持っていません。なんでまたろうそくが要るんですか?」
L「じゃああなたは狙撃の様子がどうしてみえたんでしょうね?」
S「月明かりで、ですよ!」
L「電燈は1.2Kmも離れていた。あなたはグレイスンから6mもはなれ、明かりは月明かりのみ。夜中10時。それですべてが見えたと。」
S「そうです。何度も申しております。」
 
・・・そして、リンカーンはポケットから暦を取り出し、証拠として提出し、陪審や裁判官に見せあるページの記事を読み上げた。
 
「月は当日の夜には見えず、翌朝1時にならないと昇らないはずです。」
 
そしてリンカーンは真犯人はソーヴィンであるとし、逮捕の請求を裁判官に求めたのである。
 
うまく行き過ぎているかもしれません。こんなうまくいくことなんて、あんましないんでしょうね。でも見事な腕前だと思います。しかも若造・・・。
 
なお、刑事事件の審理の流れはすべて「刑事訴訟法」に書かれています。このなかには審理の流れの規定はもちろん、保釈金についてなどもかいてあります。
 
ついでに、いままでで保釈金の最高額は「20億円」(ハンナン社長)でした。
 
長い上、読みにくくてすんませんでした!
 



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